肥満症診療ガイドライン

肥満症診療ガイドラインから考えるダイエット③ 〜食事療法 〜

雪丸くん
雪丸くん
肥満症治療の基本とされる「食事療法」について説明するね
にゃんちゃん
にゃんちゃん
食べないと痩せるだろうけど、お腹が減ってしまうとやっぱり食べちゃうよね。炭水化物食べないといいのかな?

ガイドラインとは

ガイドラインは、

『科学的に確かめられた最良の治療などが書かれた資料』

です。

この記事ではガイドラインをもとにして説明します。

食事療法とは

食事療法は、

食事の『量』や『バランス』を調整する治療です。

肥満診療ガイドラインにおいて食事療法の目標は、

食事療法の目標

減量のための摂取カロリーは

25kcal × 自分の身長の標準体重(kg) 以下

これに抑えることです。

実際の目標摂取カロリーについては、この後お伝えしますね。

治療の目的

食事療法も含め、肥満症の治療の目的は

脂肪量(とくに内臓脂肪)を減少させ、健康障害を改善すること

です。

高血圧や脂質異常症などの健康障害を改善するためには、

肥満の改善=脂肪量を減らすことが有効になります。

スタイルをよくする、といったようなダイエットとは

目的が少しずれるところもありますが、

肥満の改善のための行動として、行うべき基本は同じです。

摂取エネルギーを減らす

身体の脂肪量を減らすためには、

食べる量=摂取エネルギーを減らすことが必要!

であることは、みなさん知っての通りです。

では、どのくらいに減らせばいいのでしょうか?

ガイドラインでは基準として

25kcal × 標準体重(kg) 以下

と設定しています。(標準体重=22×身長(m)×身長(m)です)

例えば身長160cm(1.6m)の人であれば、

今の体重がいくらであったとしても、

目標摂取エネルギー量は

25×22×1.6×1.6=1408kcal以下 となります。

以下の表を参考にして、

自分の身長に近いところの目標摂取エネルギーを意識してみてください。

身長目標摂取エネルギー
150cm1238kcal
160cm1408kcal
170cm1590kcal
180cm1782kcal

栄養のバランス

ガイドラインでは、摂取エネルギーのうちわけの推奨として、

糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの):50〜60%

タンパク質:15〜20%

脂質:20〜25%

と設定しています。

最近は、糖質制限が有効とする報告も多く、

短期間では糖質を40%まで制限することも可、としています。

短時間とする理由は、

10年以上の糖質制限食が死亡率を増加させる

という報告もあるためです。(Trichopoulou A, Lagiou P, Noto H

現時点では、

糖質制限は6ヵ月以上実施することの有用性は未確立

としています。

ただし、この中でも

  • 必須アミノ酸を含むタンパク質
  • ビタミン、ミネラル、微量元素

については積極的な摂取を推奨しており、

そのような食事内容をフォーミュラ食と呼びます。

栄養素として偏りのない食事が大切ということですね。

おわりに

ガイドラインの目標は、健康的に脂肪量を減らすことです。

ダイエットに励みたい人も、基本的な知識として利用すれば、

一時的ではない、本当に目指したいダイエットができると思います。

まずは自分に適した目標摂取エネルギー量を覚えましょう。

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