塩とは
塩(しお)とは、塩化ナトリウム(NaCl)を主成分とする調味料のことを言います。
海水あるいは岩塩からの精製によって生産されます。
海に囲まれた日本では、昔から、海水をもとに塩をつくっていました。
塩の販売については、日本はかつては専売制(国が販売を管理)でしたが、
現在は自由化されています。
そのため、国産はもとより、世界各地から輸入された様々な塩が流通しています。
法律(塩事業法)による定義では、
「塩」とは、「塩化ナトリウムの含有割合が40%以上の固形物」をいいます。
実際に市販されている塩は、塩化ナトリウムの含有割合が90%以上のものが多く、
ほかに、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)などが微量に含まれています。
市販されている塩には、あえて精製度が低いものもあり、
そうしたものは、Ca、Mg、Kの含有割合が高くなっています。
その割合によって、いろいろな色や味があります。
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塩分の役割
私たちが摂取した塩分(塩化ナトリウム(NaCl))は、
体内でナトリウムと塩素に分かれて吸収されます。
ナトリウムが私たちの体の中で果たしている役割は、主に二つあります。
一つは、細胞の浸透圧を維持するということです。
ナトリウムは、細胞内の体液に多く含まれるカリウムとバランスを取って細胞内外の浸透圧を常に一定に保っています。
これによって、体の中の何十兆もの細胞が正常な状態を保っています。
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もう一つは、神経伝達や心筋(心臓の筋肉)の収縮に対する働きです。
具体的には、ナトリウムイオンとカリウムイオンの両者の働きにより電流が生じ、刺激が伝達されます。
こういった神経の活動、心臓の収縮は微小な電位の変化となり、これを捉えることにより心電図や脳波が測定できます。
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また、塩素もナトリウムとともに浸透圧の調整に作用するほか、
胃液として食物の消化を助ける等の働きをしています。
塩分と高血圧
では、塩が悪さをするのはどういう時でしょうか。
1番に挙げられるのが、高血圧です。
高血圧と診断される人の95%は「本態性高血圧」です。
残りの5%は続発性あるいは二次性の高血圧で、
原因がはっきりしており、その原因を取り除くことができれば治ります。
本態性高血圧の原因は、
塩分(特にナトリウム)の過剰摂取がその一つとされており、
ほかにも、肥満、飲酒、その他の生活習慣要因、遺伝的体質など、様々な要因が考えられています。
ナトリウムの過剰摂取による高血圧により、
心血管疾患、脳卒中、あるいは慢性腎疾患など様々な病気になるリスクが増加すると考えられています。
このような高血圧に起因する病気を予防するためには、
ナトリウムの摂取を抑制することが必要と言われています。
一方で、過度の減塩(1日当たり3g以下)が、
健康障害を引き起こすという疫学的研究もあります。
過剰摂取とともに、過度の減塩も健康障害をもたらす場合があることに注意しましょう。
食塩摂取量の目標
ではどのくらいの量を摂取するのがいいのでしょうか。
1日当たりの摂取基準(食塩相当量)は、18歳以上の場合、
男性7.5g未満、女性6.5g未満が目標です。
(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)の概要」)
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それに対し、日本人の1日当たりの実際の「食塩」の摂取量は、
男性10.8g、女性9.2gとなっています(平成28年国民健康・栄養調査)。
昔に比べ徐々に食塩摂取量は減っていますが、まだ過剰摂取です。
目標値は、実際はなかなか厳しい値ですが、
自分の身体のため、目標に向けて減塩に挑戦してみませんか。
おわりに
塩は、私たちの健康維持のためには、なくてはならないものです。
反面、過剰な摂取は高血圧につながり、高血圧は種々の健康障害をもたらします。
ちょうどいい量(男性7.5g未満、女性6.5g未満)を摂取するよう心がけましょう。