運動処方とは
運動処方とは、
「健康づくりための運動について、頻度・強度・持続時間・運動の種類を規定すること」
とされます。
アスリートの場合は「トレーニングメニュー」「トレーニングプログラム」と呼んだりしますが、
ほぼ同じ意味です。
疾病(病気)の改善や、健康づくりのための運動プログラム作成に関する場合は、
特に「運動処方」という言い方をすることが多い印象です。
運動処方では、
- 運動の頻度(F:frequency)
- 強度(I:intensity)
- 持続時間(T:time or duration)
- 運動の種類(T:type of exercise)
を考慮して決めます。
これを、「FITTの原則」といいます。
ここからもう少し細かな説明をしていきますが、
とりあえずこの4つを変化させることで、プログラムに変化を作ります。
運動処方の作り方
運動は、闇雲にただすればよいのではありません。
効果的な運動処方を作成するためには、
トレーニングの原理・原則に従うことが大切です。
また、健康づくりのための運動処方作成の際には、
『安全性』を最重視する必要もあります。
個人の潜在的なリスクや体力、体組成などの事前評価が重要です。
既往歴(持病)がある方は、ぜひ主治医の先生に運動について一度相談してください。
では、トレーニングの原理・原則について説明していきます。
3つのトレーニングの原理
トレーニングを考える際には、
- 「過負荷の原理」
- 「特異性の原理」
- 「可逆性の原理」
の3つの原理があります。
まず、「過負荷の原理」です。
ある程度の負荷を身体に与えないと、運動の効果は得られません。
負荷の最低ラインは、日常生活の中で発揮する力以上の負荷です。
よく聞くのは、「仕事でずっと立ちっぱなしだから、運動はしなくて大丈夫です」というコメントですが、
それだけでは過負荷になってないため、運動として有効になっていないと思われます。
自分に適切な負荷になっているか、目安として「ボルグスケール」や「心拍数」を活用しましょう。
![](https://www.hajimari-body.com/wp-content/uploads/2021/01/a-small-childs-walks-through-the-wilderness-320x180.jpg)
![](https://www.hajimari-body.com/wp-content/uploads/2021/01/pexels-ketut-subiyanto-4436355-320x180.jpg)
次に、「特異性の原理」です。
トレーニングによって、エネルギーの使われ方や、筋肉の活動の仕方など、関係する能力が増加します。
わかりやすくいうと、脚のトレーニングをすれば脚のパフォーマンスは高まりますが、腕のパフォーマンスは向上しません。
また、筋力を増やしたいのに、有酸素トレーニングばかりしていても、筋力は増えません。
目的に合った正しい内容を選ぶ必要があります。
最後に、「可逆性の原理」です。
せっかく獲得した効果もトレーニングを中止すると失われてしまいます。
体力・筋力や、体型を維持するためには継続する必要があります。
6つのトレーニングの原則
では、3つの原理をもとに、もう少し具体的な内容を決めるため、
以下の6つの原則があります。
原理と原則、少し難しい使い分けですが、
「原理があって、その具体的な内容に原則がある」くらいの理解でいてください。
- 「意識性の原則」
トレーニングの内容・目的・意義をよく理解し、積極的に取り組むこと。トレーニングの目的は何か、優先させるべきものは何かを意識して取り組むことが重要です。 - 「全面性の原則」
有酸素能力・筋力・柔軟性などの体力要素を、バランスよく高めることです。筋力トレーニングについて言うと、全身の筋をバランスよく鍛えること、大筋群を優先して実施することなどです。 - 「専門性の原則」
競技や健康づくりなど、目的にあった機能(筋力・筋持久力・有酸素能力・柔軟性など)を優先的に高めていくことです。健康づくりでは有酸素運動・大筋群の筋力トレーニング・ストレッチ、競技種目ではその競技で使われる筋群を、実際の活動様式(スピードが必要なのか、持久力が必要なのか)に合わせて調整します。 - 「個別性の原則」
トレーニングの実施内容を、個人の能力に合わせて決めるようにします。これは効果を得るばかりでなく、安全に運動を行うためにも極めて重要なことで、ひとりひとりの能力・リスクを細かく見極める必要があります。 - 「漸進性の原則」
体力・競技力の向上に伴って、運動の強さ・量・技術課題を次第に高めていくことです。いつまでも同じ強度の繰り返しではそれ以上の向上は望めません。さらに効果を出すためには、定期的に評価をしながら、頻度・強度・時間・種類(FITT)を徐々に変化させることが、優れた運動処方です。 - 「反復性・周期性の原則」
運動プログラムは、ある程度の期間、規則的に繰り返します。繰り返し行うことは、テクニックを上げるための重要な要素です。3日坊主では、長期的な効果は期待できません。周期性の原則は、1年間を通したトレーニング計画を行うことです。どの時期が最も効果的かを考えてプログラムを作成します。
この6つの原則をもとに、自分が設定する目的に沿って、メニューを考えてみましょう!
![](https://www.hajimari-body.com/wp-content/uploads/2020/11/doran-erickson-gdAuwo-qj5k-unsplash-320x180.jpg)
おわりに
運動処方に大切な、トレーニングの3原理・6原則を説明しました。
まずは、自分の現状をしっかりと把握、そして目的にそって内容を決めて、
それを継続してみましょう。
体の変化がないときは、内容を見直すチャンスです!