久しぶりの運動は危険
久しぶりに友人と集まって、サッカーやバスケットボール、テニスなどをした時に
「体がイメージ通りに動かない」
「すぐに息切れしてしまう」
そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
学生時代にスポーツに積極的に取り組んでいた人ほど、
自分の体の動きのイメージだけが残っているものです。
そんな中でいきなり全力でプレーすると
- 肉離れ
- アキレス腱断裂
- 足関節捻挫、足関節周辺骨折 など…
春先には、怪我で受診される30歳代以上の方が増えます。
![](https://www.hajimari-body.com/wp-content/uploads/2020/12/hanson-lu-gkwqwB0GtN0-unsplash-1024x683.jpg)
あなたもサルコペニア⁉︎
運動をしていない人の筋肉量は、
20歳前後をピークに年約1%ずつ低下すると言われます。
これが進むと、「サルコペニア」になります。
サルコペニアは、
「転倒、骨折、身体機能障害、嚥下障害、認知機能低下などの、
健康障害リスクが高まった進行性かつ全身性の骨格筋疾患」と定義されます。
サルコペニアの概念は、
1988年にRosenbergが加齢に伴う筋肉の変化をとらえる学術用語の必要性を唱え、
ギリシャ語で筋肉を意味する「sarx」と、喪失を意味する「penia」を組み合わせて、
「サルコペニア」を提案したところから始まります。 (吉村ら, Jpan J Rehabil Med. 2020)
はじめは、高齢者の方にむけて作られたものでしたが、
最近は若い人や、子供にも認められることが問題とされ、
年齢は限らない疾患といえます。
また、
- 急性および慢性サルコペニア
- サルコペニア肥満
- 低栄養に関連したサルコペニア(malnutrition-associated sarcopenia)
のようなキーワードが派生してきており、
今後もサルコペニアに対する認識が広がっていくと思われます。
サルコペニアかどうかを判断するテストとして、
- 握力 (男性<28kg、女性<18kg)
- 5回椅子立ち上がりテスト(12秒以上)
このどちらかが当てはまるようであれば、サルコペニアの可能性があるとして、
詳細な評価が必要になります。
まずは早歩きから始めよう!
体がイメージ通りに動くためには筋力と心肺機能を取り戻し、
かつ脂肪・体重を減らすことが近道です。
そこでまずは「ランニング」!
と、言いたいところですが、実際は走ることへの壁はちょっと高いです。
外来診療で、運動指導をしていて実感します。
ランニングのために、
さらに基本として「早歩き」から始めてみませんか?
早歩きにも体重減少、体脂肪率減少、腹囲減少、脂質異常改善効果があると言われています(Zhang T, et al. 健康科学. 2019)
その時に意識して欲しいのは、
「少し息が上がるくらい」のペースを目指しましょう。
![](https://www.hajimari-body.com/wp-content/uploads/2021/04/iOS-の画像-1-1024x727.jpg)
ペースは人それぞれですが、必ず少し息が上がるくらいで歩くことで、
身体にちょうどいい負荷がかかります。
そこから少しずつ、ペース&距離を伸ばして「ランニング」につなげましょう。
筋力や心肺機能が戻り、簡単に息切れしなくなると、
スポーツの練習も充実したものになります。
怪我の予防にもつながります。
幸いにも、子供の頃に習得した技術は忘れにくいものです。
基礎体力さえ戻れば、イメージに近い動作が可能になってくるはずですので、
焦らず自分の身体と頭を一致させていきましょう。
おわりに
大人のスポーツ復帰は、そう簡単ではありません。
けれど決して不可能ではありません。
まずは自分の身体の動きを見直して、自分に適した運動負荷をかけましょう!
必ず楽しくスポーツできる日が、またやってきます。