運動

久しぶりに運動する人は、まず早歩きから!

にゃんちゃん
にゃんちゃん
よーし、明日から筋トレ始めるぞ!まずはジムに入ればいいのかな?
雪丸くん
雪丸くん
いきなり筋トレをしたり、全力で走ると、怪我をするリスクがあるよ。まずは自分の体の動きを再確認しよう。

久しぶりの運動は危険

久しぶりに友人と集まって、サッカーやバスケットボール、テニスなどをした時に

「体がイメージ通りに動かない」

「すぐに息切れしてしまう」

そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

学生時代にスポーツに積極的に取り組んでいた人ほど、

自分の体の動きのイメージだけが残っているものです。

そんな中でいきなり全力でプレーすると

  • 肉離れ
  • アキレス腱断裂
  • 足関節捻挫、足関節周辺骨折  など…

春先には、怪我で受診される30歳代以上の方が増えます。

あなたもサルコペニア⁉︎

運動をしていない人の筋肉量は、

20歳前後をピークに年約1%ずつ低下すると言われます。

これが進むと、「サルコペニア」になります。

サルコペニアは、

「転倒、骨折、身体機能障害、嚥下障害、認知機能低下などの、

健康障害リスクが高まった進行性かつ全身性の骨格筋疾患」と定義されます。

サルコペニアの概念は、

1988年にRosenbergが加齢に伴う筋肉の変化をとらえる学術用語の必要性を唱え、

ギリシャ語で筋肉を意味する「sarx」と、喪失を意味する「penia」を組み合わせて、

「サルコペニア」を提案したところから始まります。 (吉村ら, Jpan J Rehabil Med. 2020

はじめは、高齢者の方にむけて作られたものでしたが、

最近は若い人や、子供にも認められることが問題とされ、

年齢は限らない疾患といえます。

また、

  • 急性および慢性サルコペニア
  • サルコペニア肥満
  • 低栄養に関連したサルコペニア(malnutrition-associated sarcopenia)

のようなキーワードが派生してきており、

今後もサルコペニアに対する認識が広がっていくと思われます。

サルコペニアかどうかを判断するテストとして、

  • 握力 (男性<28kg、女性<18kg)
  • 5回椅子立ち上がりテスト(12秒以上)

このどちらかが当てはまるようであれば、サルコペニアの可能性があるとして、

詳細な評価が必要になります。

まずは早歩きから始めよう!

体がイメージ通りに動くためには筋力と心肺機能を取り戻し、

かつ脂肪・体重を減らすことが近道です。

そこでまずは「ランニング」!

と、言いたいところですが、実際は走ることへの壁はちょっと高いです。

外来診療で、運動指導をしていて実感します。

ランニングのために、

さらに基本として「早歩き」から始めてみませんか?

早歩きにも体重減少、体脂肪率減少、腹囲減少、脂質異常改善効果があると言われています(Zhang T, et al. 健康科学. 2019

その時に意識して欲しいのは、

「少し息が上がるくらい」のペースを目指しましょう。

ペースは人それぞれですが、必ず少し息が上がるくらいで歩くことで、

身体にちょうどいい負荷がかかります。

そこから少しずつ、ペース&距離を伸ばして「ランニング」につなげましょう。

筋力や心肺機能が戻り、簡単に息切れしなくなると、

スポーツの練習も充実したものになります。

怪我の予防にもつながります。

幸いにも、子供の頃に習得した技術は忘れにくいものです。

基礎体力さえ戻れば、イメージに近い動作が可能になってくるはずですので、

焦らず自分の身体と頭を一致させていきましょう。

おわりに

大人のスポーツ復帰は、そう簡単ではありません。

けれど決して不可能ではありません。

まずは自分の身体の動きを見直して、自分に適した運動負荷をかけましょう!

必ず楽しくスポーツできる日が、またやってきます。