ジャックナイフストレッチとは
ジャックナイフストレッチは、
腰痛の原因の1つである、タイトハムストリングス(太ももの裏側の筋肉が硬い状態)を改善できるストレッチです。
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NHKプロフェッショナル仕事の流儀にも出演された、
徳島大学整形外科教授の西良浩一先生が効果を報告しています。
(Sairyo, Eur J Orthop Surg Traumatol. 2013.)
折り畳みナイフ(ジャックナイフ)のような格好をすることから名前がついたそうです。
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腰痛は、生涯で80%以上の人が1回以上経験する症状だとされています。
慢性的に苦しんでいる方もいるでしょう。
でも病院で整形外科を受診しても、
「レントゲンで問題ない」ということで痛み止めだけ出された。
という、経験がある方も多いのではないでしょうか。
腰痛にはたくさんの原因がありますが、
原因がはっきりしない腰痛、『非特異的腰痛』というものがあります。
非特異的腰痛も含め、(下肢の症状を伴わない)多くの腰痛は手術の適応にはならないため、
病院を受診しても明確な治療方針が提示されないのが現状です。
(ただし、寝ている時や安静にしている時も痛い、熱も伴う、
そのような腰痛が長引く際は、一度病院で検査を受けてください)
そんな多くの腰痛には、
運動療法がガイドラインでも推奨されています。
私見ですが、
腰痛の原因に応じて、具体的な運動方法を指導してくれるドクターは信頼できる人かと思います。
多くの腰痛に、タイトハムストリングスが影響しています。
タイトハムストリングスが、腰椎の負担を増加させ、
非特異的腰痛や、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症などの腰痛疾患につながります。
そこでみなさんも、自分でできることがあります。
その1つが『ジャックナイフストレッチ』です。
立った状態から膝を伸ばしたまま、床に手が届きますか?
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写真のように、立ったままで膝を伸ばした状態で、床に手が届きますか?
これは腰椎と股関節の可動性をみる柔軟性のテストです。
(Finger Floor Distance 立位体前屈)
床に手が届かない方は、かなりハムストリングスが硬い状態です。
床に指が届いても、手のひらまでつかない場合も、まだ硬い状態になります。
手のひらまで全部ついた人は合格です。
ハムストリングスが硬い状態だと、
ハムストリングスに引っ張られて骨盤が後傾します。
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デスクワークでこの状態が続くと腰に負担がかかり続けます。
同じ姿勢で動かない、筋肉・関節の不動も伴って、腰痛の原因になります。
デスクワークの方だけでなく、
力仕事の方も中腰の姿勢が続く際は、
ハムストリングスの柔軟性があるかどうかで、腰の負担は全然違います。
また、タイトハムストリングスは大人だけの問題ではありません。
子供は、学校で行う運動器検診の1項目になりますが、
かなり多くの子が、床に手のひらが届きません。
子供で腰痛があると異常です。
通常の生活だけではなく、スポーツの障害にもなります。
特に腰椎分離症の場合は、
徹底的に治療期にジャックナイフストレッチを行って腰椎の負担軽減を目指します。
ぜひご家族みんなでチャレンジしてみてください。
ジャックナイフストレッチのやり方
具体的なやり方は、下の動画で徳島県のマスコットキャラクター「すだちくん」が紹介してくれています。
徳島大学の監修でしょうか、とてもわかりやすい動画になっています!
西良先生の論文の原法は『5秒』でしたが、動画のように10秒がより有効だと思います。
また、即効性を求めるなら、下の動画のように、膝の屈伸を繰り返す方法も有効です。
10回やってみてください、やる前と後ではっきり差が出ますよ。
ジャックナイフストレッチがなぜ効くか
少し難しい話になりますが、
ジャックナイフストレッチが、長座位体前屈のようなストレッチよりなぜ効果的なのか説明します。
ジャックナイフストレッチは
スタティック(静的)ストレッチ+ダイナミック(動的)ストレッチの複合ストレッチになります。
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スタティックストレッチは、
筋の伸長からゴルジ腱器官による自原抑制(Ib抑制)を生じさせ,標的筋の運動ニューロンの興奮性を抑制することによって筋緊張を低下させます。
ダイナミックストレッチは、
拮抗筋群の収縮により,相反抑制(Ia抑制)を生じさせ,標的筋の運動ニューロンの興奮性を抑制し,筋緊張を低下させます。
ジャックナイフストレッチは、
スタティックストレッチに相反抑制(大腿四頭筋を収縮させることで、ハムストリングスが弛緩すること)の原理を加えていることから、
スタティックストレッチとダイナミックストレッチの両者の特性を持ち合わせたストレッチであり,
ハムストリングスの柔軟性を高めるのに有用とされます。
おわりに
腰痛のある人、腰痛がなくても運動をする人、運動を始めたい人、
極端なことをいうとみんなが、
ジャックナイフストレッチを継続するのをお勧めします。
いつでも床に手のひらがつく柔軟性を維持しましょう。
世界が明るくなりますよ。